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NCC宗教研究所

   2017年の活動から                  所長 宮庄哲夫

 

 宗教研究所の年間の活動は、4名の研究員のそれぞれの研究や討議、「日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性」研究会、および「生命倫理研究会」(一時休会中)等の研究活動と、定期的な出版物の刊行、および「日本の諸宗教 ─ 研修と対話」(Interreligious Studies in Japan Program 略称ISJP)の準備と実施が主です。出版活動では、5月に日本の宗教に関する英文雑誌 ”Japanese Religions” 第41号を刊行しました。1959年の発刊以来、50年以上もの歴史を有する学術誌として、国内外の研究者による日本の宗教についての研究が英語で公表されています。外国の購読者も多いのですが、現下の趨勢として学術雑誌の電子化の流れに対応することを検討しています。7月には「NCC宗教研究所ニュース」45号を出しました。特に、WCCの世界宣教・伝道委員会の取り組みの成果である『いのちに向かって共に ─ 変化する世界情勢における宣教と伝道のあり方』(キリスト新聞社、2017)について、神田健次先生(当研究所理事)による詳細な紹介「21世紀におけるエキュメニカルな宣教論と教会論」を掲載しました。また、昨年のISJP参加者ジュリアネ・シュペートさんが、プログラムと日本での体験についてのレポートを寄稿してくれました。「このプログラムを通して、私たちは多くのことを互いに学び、それぞれの異なる視点を増やしていくことができることを学びました。(中略)私たちは異なる立場にいる者に同意することができるのか、受けいれられるのか、こうした対話から自分自身のための何かを見いだし、また学ぶことができるのか。宗教間対話においてどうすれば共通の基盤を見いだし、かつ互いの異なる立場を越えていくことが可能になるのかという課題は私を刺激します」と述べる彼女にISJPの意義は充分消化されていると思います。彼女はさらに日本で学びたいという希望を持って今も京都に滞在していますが、いずれドイツで牧師になる予定です。こうした参加者が増えていくことは、WCCの新しい宣教論の方向性にも益するのではないでしょうか。〔研究所ニュースを希望される方はご一報下さい〕

 すでに9月19日から2017年秋のISJPが始まりました。今回の参加者は4名で、特筆すべきは、カトリックの大学院生と神父の2名が含まれていることです。3月にISJPのドイツのパートナーであるEMS(Evangelical Mission in Solidarity)から副総幹事のノイマン女史(海外の諸教会・団体との協力関係の責任者)、新しくアジア地区担当になったベンヤミン氏を迎えて、これまでの総括とプログラムの充実について協議をした際に、プロテスタントだけでなくカトリック系の神学部へも積極的に呼びかけることを確認していたことが具現化しました。参加者のみならずプログラムの幅が拡がることが期待されます。また、昨年11月には、これまでのISJP参加者のいわば同窓会のような集会がフランクフルトで開催され、旧交を温めつつプログラムの成果などについての話し合いがなされました。16年目を迎えた今、時間的な拡がりの中にプログラムが生きている証です。それを受けて今年の11月20・21日にも同じ集会が計画され、過去の参加者の中から2名が提出した博士論文の講演をして協議をすることになっています。日本で蒔かれた宗教間対話と理解の一粒が、芽を出し実を結ぶ兆しを感じることができるようです。

9月28日、教団付置研究所(諸宗教・諸宗派の研究機関)懇話会の第16回年次大会(テーマ「次世代への信仰継承のために」)が東京の曹洞宗総合研究センターで開催され、共通の課題への取り組みを巡る協議に参加するなど、対外的な関係も活動の重要な部分です。

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