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NCC宗教研究所 

                        宣教に仕えるために                  所長 宮庄哲夫

 

 京都にあるNCC宗教研究所は、日本の諸宗教の研究と、諸宗教の人々との間の対話と相互理解の促進とを通して、福音の宣教に仕えることを目的として設立されています。現在の主な活動は、6名の研究員のそれぞれの研究や討議、「日本・アジアのキリスト教と宗教的多元性」研究会(「生命倫理研究会」は休止中)等の研究活動と、定期的な出版物の刊行、および「日本の諸宗教─研修と対話」(Interreligious Studies in Japan Program 略称ISJP)の実施です。出版は、5月に日本の宗教に関する英文雑誌“Japanese Religions” 第42号を刊行し、9月には「NCC宗教研究所ニュース」47号を会員や関係諸機関に送りました。今号には、長崎・天草の潜伏キリシタン関連遺産が世界文化遺産に登録されたことを受けて、『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』(宮崎賢太郎著、2018)を手がかりにした「潜伏キリシタンとキリスト教の土着化」(土井健司副所長)を掲載。「一方で、もはや『キリスト教』とは認めがたいまで変質した潜伏キリシタンの宗教があり、他方で欧米の宗教としてのキリスト教がある。前者は、それでも日本の大地に根ざした宗教となっているのであるが、他方、後者はまだまだ外来種のままであろう。(中略)キリスト教が日本人全体にしっくりする日は来るのだろうか」というジレンマも、日本での福音宣教に仕えようとする我々の課題だと思います。キリスト教が真に日本の宗教になるために、諸宗教の理解と対話がより一層求められています。

それを外国のキリスト教の側から積極的にチャレンジして、宣教の一助としているのがドイツの宣教団体EMSとの共同プログラムISJPなのです。今年も9月18日からスタートしていて、参加者は4名の神学生と牧師、副牧師(各1名)それにIT技術者という多彩な顔ぶれです。7名の滞在ということで初めて佛教大学の国際交流会館に2名受け入れてもらいました。佛教大学での留学生プログラムや交流が期待されますし、双方ともに京都・宗教系大学院連合の加盟団体として活動に寄与できると考えています。

講義は従来の6科目(Japanese Christianity, Theology in Dialogue〔関西学院大学神学部との提携科目〕, Buddhism, Shinto and Folk Religion, New Religions, Buddhist Text reading)に、新たにJapanese Culture and Historyという宗教に焦点を向けた日本文化史論を加えました。日本の宗教と文化への理解が深まることを願っています。

週末には地の利を生かして、京都・奈良の寺社へのフィールドトリップや参禅体験、浄土真宗、浄土宗、天理教、大本などの教団での研修、東京プログラム(12月10日~16日、富坂キリスト教センターの協力で、靖國神社、立正佼正会、NCC平和教育資料館、マイノリティー宣教センター、鎌倉、ドイツ語福音教会など)、また、関西学院大学、龍谷大学、佛教大学、大谷大学などの学生との交流会も予定されています。12月中旬以降、参加者の希望を受けたインターンシップの研修もあります。昨年は、佐渡教会、沖縄キリスト教協議会、真命山(九州のカトリック系諸宗教対話・霊性交流センター)、NCCマイノリティー宣教センター等々でお世話になり、皆さまに感謝申し上げます。また、参加したカトリック神父Rolf氏は、長崎で殉教した26聖人の京都から長崎までの巡礼路を歩き通され、更に四国のお遍路も踏破されました。それらはISJPの内容も含めてインターネットで発信され、さまざまな人々との交流が伝えられていることもプログラムの果実として報告しておきます。

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